保険代理店の業務品質評価、生保と損保でどう違う?
2025.11.27
2026年度から本格始動する損保の業務品質評価。
すでに実施されている生保の業務品質評価との違いや、損保でも実施するようになった背景等を解説いたします。
そもそも業務品質評価制度とは?
保険代理店の業務品質評価制度とは、保険代理店が適正かつ質の高い業務運営を行っているかを評価するための枠組みのことを指します。保険代理店は、保険会社に代わって顧客に保険商品を販売し、代理店手数料を受け取る仕組みですが、だからこそ顧客の利益を置き去りにしない、健全な経営・健全な募集体制を維持することが重要です。
保険代理店の健全性を測る上での重要な指標が業務品質評価ですが、生保業界と損保業界では制度が開始する背景が異なります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
生保の業務品質評価と損保の業務品質評価の違い

このように対象が異なるのはそれぞれの業務品質評価が始まった背景が関係します。
業務品質評価制度が開始した背景
生保業界保険業界は2015年の委託型保険募集人適正化や2016年の保険業法改正を皮切りに、FD宣言の策定やKPIの公表を求められるようになりました。つまり金融庁は保険代理店に対して、顧客本位に基づいた保険募集品質の実践を求めているということです。
金融庁は「顧客本位の業務運営」を標ぼうする上で、「保険代理店が、顧客の利益よりも自社利益を優先して代理店手数料の高い商品を売るのでは?」という懸念が課題でした。
これは代理店手数料が、保険代理店の販売量に応じて決まる保険会社が多かったためです。
しかし、この代理店手数料のもとは保険契約者から預かった保険料であるため、保険契約者にも納得してもらえるような手数料体系にする必要があると考えられるようになりました。
この考えのもと、金融庁は保険会社に対して、代理店手数料において、丁寧な顧客対応やアフターフォローの質も重要視することを求めるようになりました。
さらに、保険会社ごとの顧客本位の業務運営の考えをもとに、各保険会社独自の代理店手数料の評価軸を決めることを求めるようになりました。しかし、保険代理店からすると、保険会社ごとに異なる評価指標をそれぞれクリアするのは大変です。そのため、評価軸を統一する動きが進みました。
ここまでの流れがあり、生保協会主導で、保険代理店業務品質評価運営制度が開始しました。
損保業界
兼業代理店での不祥事が続いたことが大きなきっかけとなり、損保業界も業務品質についての意識が変わりました。
損保は生保より商品で差別化がしづらい背景もあり、保険代理店は、より“便宜”をはかってくれた保険会社の商品を販売していた事実(なかには便宜を“強要”していたような事例も)が次々と明らかになりました。
保険会社と保険代理店のなれ合いにより、顧客は真にニーズに合った商品を選ぶ機会を奪われ、不適切な商品選択に繋がる恐れがあるため、損保協会は保険代理店の業務品質評価制度を2026年度から開始する運びとなりました。評価項目はすでに先行していた生保協会の内容を参照しており、2025年度はトライアル運用をしています。
生保・損保、それぞれの業務品質評価制度の大まかな違いは制度スタートに至る背景にあります。
生保は比較推奨の観点から、損保は便宜供与の観点から制度が始まるという違いがあります。この背景の違いを踏まえて、それぞれの評価フローの違いを解説します。
業務品質評価制度の認定フローの違い
生保の業務品質評価制度の評価フロー調査を受け、基準を満たした保険代理店は「認定代理店」として公表され、認定マークを使用することができます。これにより、「認定代理店」は消費者にとって信頼できる保険代理店を選ぶ際の指標となります。
損保の業務品質評価制度の評価フロー
損保を取り扱っている全ての保険代理店は自己点検を行い、各保険会社と「対話」を実施し、その結果に基づいて評価を受けることになります。保険会社は「対話」をできるだけ繰り返し実施し、その内容を踏まえて評価の検討、さらに保険代理店にフィードバックをします。
保険会社と保険代理店の間での過度な便宜供与により不祥事が起きた経緯もあるからか、損保の業務品質評価制度では、両者の「対話」が重視されています。
保険会社と保険代理店が大切なビジネスパートナーである、という大前提が改めて意識されている印象を持つのではないでしょうか。
品質を担保するメリット
業務品質評価(生保の手上げ式認定、損保の指針準拠)に取り組むことで得られる主なメリットは以下の3点です。・顧客からの「信頼の可視化」
生保の「認定代理店」マークは顧客本位の運営を証明する客観的な証拠です。このマークは他の代理店との大きな差別化要因になります。
・コストとリスクの削減
評価基準に合わせた厳格な募集管理体制を構築することで、不適切な勧誘や法令違反のリスクを未然に防ぎます。これにより、クレーム対応や行政処分にかかる時間的・金銭的コストを大幅に削減できます。
・信頼できるパートナーとしての地位確立
業務品質の向上は、保険会社、そして異業種パートナー双方からの信頼を強固にします。保険会社は高水準の業務品質を持つ代理店との取引を優先し、会計事務所や不動産会社などの紹介パートナーは、安心して顧客を紹介できます。この実践により、あらゆる関係先からの信頼度が向上し、安定的な事業拡大に繋がります。
業務品質評価制度に取り組むことで、上記のメリットを継続させることができます。また、この評価制度に取り組むこと自体がが保険代理店がPDCAサイクルを回すきっかけとなり、、組織全体としての品質と成長を持続させることに繋がります。
よって、業務品質評価制度への取り組みを、短期的なコンプライアンス対応とするのではなく、保険代理店の持続的成長と競争力強化に直結する「戦略的投資」と捉えて、主体的にチャレンジしていくことが重要と言えます。
まとめ
“品質”や“制度”が目立っているかもしれませんが、それ自体は目的ではなく、本当の目的は顧客のために品質の高い保険代理店を目指すこと。評価項目や認定代理店制度はあくまで指標の一つであり、顧客本位を実現させることが最も重要です。
業務品質について何かやらなければいけないことはわかるが、何をしたらいいかわからない・・・
とお考えの方はぜひお気軽にエルティヴィーにご相談ください。弊社はグループ会社に保険代理店があり、生保協会の認定代理店でもあるため、業務品質に関する事例もお伝えできます。
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