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FD宣言の差戻しが多発!?保険代理店経営者必見!新様式提出時の注意点とは。

2021.09.22

 2021年4月、金融庁から「金融事業者における顧客本位の業務運営のさらなる浸透・定着に向けた取組みについて」と題した文書が公表されました。

 
金融庁ホームページ
「金融事業者における顧客本位の業務運営のさらなる浸透・定着に向けた取組みについて」
https://www.fsa.go.jp/news/r2/kokyakuhoni/202104/fd_2021.html
 
これを受けて6月30日までにFD宣言を提出したものの、早々に差戻しを受けている保険代理店が多発しているというのです。
 
・なぜ差戻しを受けてしまったのか・・・
・どのような点に注意して提出をすればいいのか・・・
 
今後提出を検討されている保険代理店様に参考にして頂けるよう、弊社がキャッチした情報から分かりやすく解説をしていきます。
 
併せてお読みいただきたい記事はこちら▼
保険代理店向け【FD宣言・KPI徹底解説セミナー】開催レポート
https://hoken-system.com/column/2021_0713/

2021年4月:金融庁が保険代理店に求めるFD宣言の内容はどう変わった?

 FD宣言が求められてきた流れを振り返ってみると上記の通りです。

2017年3月 FD宣言を策定・公表
 ↓
2018年3月 具体的な数値指標KPIの設定
 ↓
2021年4月 定着のための取組・実践方法を所定のフォーマットで提出

 このように段階を経て、求められる内容の難易度がアップしていることがわかります。当初は、いわば努力義務の一つであったFD宣言の策定は、今や保険代理店の業務品質を図る指標になりつつあります。つまり、FD宣言は「公表して終わり」「KPIを設定して終わり」ではなく、質の高い保険代理店であり続けるための行動計画に変わってきていると言えるかと思います。

差戻し多発の理由

 それでは、なぜFD宣言・KPI定着のための取組方針が差戻しになってしまうのか?実際に差戻しを受けた保険代理店様に伺った情報を元にまとめていきます。
 差戻し理由のほとんどが【形式的な不備】との事。その具体的な内容としては下記が挙げられるようです。

1)必要な項目が記載されていない、もしくは空欄がある
2)作成した取組方針(FD宣言)が各原則のどの部分に対応しているのか明記されていない
3)報告フォーマットとホームページ(HP)に掲載している取組方針(FD宣言)の内容が一致しない

この3点について、1つずつ解説していきます。

提出時の注意点と作成のポイント1

 実は、金融事業者における顧客本位の業務運営のさらなる浸透・定着に向けた取組みについての案内文には2つの資料が掲載されています。

「顧客本位の業務運営の取組方針等に係る金融庁における好事例分析に当たってのポイント」(別紙1)
https://www.fsa.go.jp/news/r2/kokyakuhoni/202104/fd_point.pdf

「取組方針等の記載や金融事業者リストへの掲載等に関するQ&A」(別紙2)
https://www.fsa.go.jp/news/r2/kokyakuhoni/202104/fd_qa.pdf


 この別紙までしっかり読み込んだ上で報告書を作成し提出すれば【形式的な不備】はかなり軽減できるようにまとめられています。差戻し理由と照合しながら、ご紹介します。

1)必要な項目が記載されていない、もしくは空欄がある
【顧客本位の業務運営】の原則2~7のうち「実施してない」「一部実施している」といった場合もあるかと思います。そうした場合、空欄のままの提出はNGです。

【参照】別紙2「4.報告様式の記入方法について-(3)」
Q:4-(3)報告様式の「報告フォーマット(2)」シートにおいて、実施していない原則や(注) がある場合は、空欄でいいのでしょうか。

A:本原則のうち、実施しない原則や(注)がある場合には、取組方針に、その理由や代替策を、分かりやすい表現で盛り込むとともに、これに対応した形で取組状況を明確に示すことが求められます。---------中略---------「報告フォーマット(2)」シートにおいて「実施・不実施」列が、「実施」、「一部実施/不実施」、「―」のいずれの場合でも、「取組方針における該当箇所」列、「取組状況における該当箇所」列が空欄となることは、原則としてありません。

ポイント▼
・実施しない原則がある場合もその理由・代替え策を盛り込む必要がある
・「一部実施/不実施」、「―」といった選択肢もあるため、空欄にはしない


提出時の注意点と作成のポイント2

2)作成した取組方針(FD宣言)が各原則のどの部分に対応しているのか明記されていない
FD宣言・KPIを自社のホームページに掲載しているだけではNG。原則2~7のいずれに対応しているかを明記する必要があります。

【参照】別紙2「1.取組方針や取組状況の記載内容についてー(3)」
Q:1-(3)対応方針等と原則2~7との対応関係を明らかにするとは、どういうことでしょうか。原則2~7の順に、取組方針等を作成しなければならないのでしょうか。

A:各金融事業者において、顧客にとって対応関係が分かりやすいよう工夫いただくこと が重要ですが、例えば、原則2~7の順に対応方針等を記載する、対応方針毎に原則2~ 7との紐づけを記載する等の方法が考えられます。

ポイント▼
・自社の対応方針と金融庁の原則を紐づけ、顧客に分かりやすいようHPなどに明記する

【事例】広域乗合保険代理店ホロスプランニング お客様本位の業務運営方針
https://www.holos.jp/company-fd/

提出時の注意点と作成のポイント3

3)報告フォーマットとHPに掲載している取組方針(FD宣言)の内容が一致しない
報告フォーマットは、求められる内容に関して正しく簡潔に記載をすれば問題ありません。ただし、HPには先述の2)の通り、自社の対応方針と原則2~7の対応関係を詳細に記載する必要があります。当局は、提出された報告内容の確認のため、各代理店のHPを確認するので、どのページの何行目に明記されているのか?を報告フォーマットに記載することが必要です。

【参照】別紙2「4.報告様式の記入方法についてー(1)」
Q:4-(1)報告様式の「報告フォーマット(1)」シートにおいて、「URL が複数ある場合には、代表する URL を記載する」よう補足説明がありますが、各金融事業者のウェブサイト のトップページの URL を報告する形でも問題ないでしょうか。

A:顧客が金融事業者の顧客本位の業務運営への取組みを容易に確認できるようにする観点から、トップページではなく、取組方針等へ簡単にアクセスできる URL をご報告ください。なお、トップページに取組方針等が記載されている場合は、同ページのURLをご報告いただいても問題ありません。

ポイント▼
・自社の方針(FD宣言)と報告フォーマットは内容を一致させる
・報告フォーマットに記載するURLは、その内容が明記されているページのURLを記載する
・HPのどのページの何行目に明記されているかを記載する

 ご覧頂いた通り、差戻し理由に対してどのように提出すべきなのか、Q&Aに明記されていました。この他にも、提出する上で参考になるポイントがまとめられていますので、別紙2のQ&Aは提出前にしっかり読み込んでおくとよさそうです。

保険代理店として【FD宣言】に見出す価値とは

 実際に差戻しを受けたという保険代理店様では、その後の対応は2パターンに分かれていました。

・金融庁から提示された期日までに再提出を行う
・金融庁の代理店のリストが公表された後に参考にし、次のタイミングで提出する

 いずれにしても、「提出を諦める」といった保険代理店様はいらっしゃりませんでした。しかし既に現行の公表リストには掲載されており、新フォーマットになっての再提出となる保険代理店様の場合は特に、まとめ直すにあたりそれなりに時間も人員も割くことになります。そうしてでもなお、提出をすることに保険代理店としてどんな価値・意味を感じているのでしょうか。

FD宣言に見出す価値➀ 言われた通りにこなす時代ではなくなった
 保険代理店経営者様が口を揃えて仰るのは「これまでは、言われた通りにすればよかったが、今後は自分で考えて行動していく必要がある」ということ。まさに、金融庁が提言するプリンシプルベースの考え方を経営者様ご自身が持たれていると感じます。

FD宣言に見出す価値② 小規模保険代理店だからやらなくていいという理由にはならない
 10名未満の某保険代理店経営者様は、今回一度差戻しは受けたものの9月か12月に向けて再提出の準備をしているとのことで、再提出を行う理由を・・・
「看板を残すためには保険代理店として残っていかなければならず、そのためには、金融庁がやりなさいと言った事はきちんとやっていかなければならないと思う。規模に関わらず、今後もやるべきことはやっていこうという想いがあった。」と話されていました。

FD宣言に見出す価値➂ 大規模保険代理店は「組織力」向上の為に・・・
 大規模代理店においても、手数料の観点や大規模ながらに受ける保険会社などからの指摘から公表を行っているだけではなく、FD宣言そのもの自体に価値を見出しているといったお話も伺えました。


 某来店型保険代理店様
「FD宣言を公表することで、社内的には社員の考え方やモチベーションにいい影響を与えていると感じる。例えばKPIで公表している継続率1つをとっても、数値で見える結果として意識をすることができ、それがプライドに繋がる。社員が自ら意識をすると、誇りを持って仕事ができるようになる効果がある。  また、社外に対しても公表をすることによって、公表した以上自分たちがきちんと実行していかなくてはならないという社員の意識付けに繋がっている。

 某フルコミ系訪問型保険代理店様
「FD宣言の公表を通じて意識しているのは組織力の向上。5年後10年後を考えていったときに保険代理店としてお客様に何ができるのか?昔のように家族経営の小規模代理店ばかりではなくなってきているので、今後は保険代理店としてどうお客様を引き継いでいくのか?どう守り続けていくのか?そこを意識して組織力を向上させていくという事を目標にしている。
そういった意味合いでも、社員が日頃どんな意識でお客様と接しているか?実は、FD宣言としてをまとめていくうえで社員の真意を聞くことができるので意識の共有といった面でも役立っている。」

 保険代理店が【FD宣言】に見出す価値として共通していたのは「社員の意識向上」そして「組織力の向上」ということ。FD宣言そのもので実現できるというわけではなく、策定・公表することで結果として社員の教育や組織力を強化していくきっかけにされていると感じます。

 こういった観点から見てみると、FD宣言の策定・公表は保険代理店経営をより良いサイクルで回すために役立てられる1つのツールと言えるかもしれません。
 FD宣言の取組方針・差戻しに関しては、弊社代表 堀井計のブログでも詳細をお伝えしておりますので、ぜひこちらもお読み下さい。


▼ブログ:ワタスがほりいけいダッ!
~金融事業者の皆さまへ。顧客本位の業務運営方針提出に際する注意事項~
https://kei-horii.com/2021/07/18/holos-164/

 また、弊社ではFD宣言の策定や運用に関する事例やお役立ち情報のご紹介も行っております。気になる方はぜひ下記コラムや資料をご覧頂き、ご興味お持ちいただけましたらお気軽にお問合せくださいませ。

▼FD宣言策定インタビュー
ライフキット様|社員全員が関わることで、「自分のことだ」と自覚を持てる
https://hoken-system.com/column/2019_0816/

ライフアシスト様|自社ならではの強みやこだわりを掲げることが大切
https://hoken-system.com/column/2019_0724/


▼無料ダウンロード資料
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